エッセイ公募

「夢カプセル」のサービス開始記念として、募集いたしました「タイムカプセルにまつわるエッセイ」。
12歳から68歳という幅広い年齢層の皆様から、合計73点のご応募をいただきました。
十人十色な素敵なエピソードやドラマの数々…
いずれも甲乙つけがたい応募作品の中から、入賞者6名様を発表いたします!


 
 
 

「あっことママのおしゃべり」
東京都 平瀬秀子様
「友人に託すタイムカプセル」
神奈川県 阿部松代様
「思い出の絵画」
宮城県 永井可奈子様

今から20年前。
私の住んでいた地域では当時の小中学生の思い出をタイムカプセルに埋め、20年後に発掘しようという全市あげての大きな企画があった。
当時の私は8歳。学年でいうならば小学2年生である。
毎日のプールが楽しみで、クロールができるようになるのが目標だった。
その日から20年の月日が流れた夏、タイムカプセル開封の連絡が来た。
日々の忙しさにかき消され、今では何をタイムカプセルに入れたのかは全く覚えていない。
ただ、みんなで大きな入れ物に何かを入れた記憶があるだけ。
8歳の私はいったい何を思い出に残したのだろう。

ちょうど暑さも盛りの8月。私は友人と一緒に母校の体育館に集まった。
体育館にはたくさんの机が並べられ、当時のクラスごとにタイムカプセルの中身が公開されていた。
2年2組の机には、画用紙で作られた色紙が置かれていた。
私の忘れかけていた思い出、それは20年後の自分の似顔絵、手形、今一番好きなこと。
そして将来の夢が書かれた紙だった。

それを手にして眺めながら、ふと今までの将来の夢を思い出した。
私は中学時代通訳に憧れ、高校時代には看護師に。
浪人時代には理学療法士に、と将来なりたい仕事はその時期によって変わっていた。
中学・高校・大学・大学中退・・・といろいろな道を目指し、挫折し。
その繰り返しで、天職だと感じる今の仕事にたどりついたものだった。

まさかその仕事につく原点が8歳の私にあったとは考えもつかないことであった。
8歳の将来の夢は「学校の先生になること」。
そして現在私は、小学校で教員として働いている。


最優秀賞受賞おめでとうございます。
タイムカプセルの中に見つけた子供の頃の「将来の夢」。
しかし、その夢は、すでに天職として実現していたのですね。
成長する中で未来への夢は様々に変化していきますが、その原点というのは、案外「子供のころの夢」そのものなのかもしれません。
素敵なエピソードをありがとうございました!


いよいよ明日は結婚式。
前日の夜、大好きなおばあちゃんから受け取ったきれいな箱の中には、少し古めいた感じのする、 小さく折りたたまれたメモのような、色とりどりの紙がたくさん入っていました。

「これはおばあちゃんの宝物。いつかこの日が来たら渡そうと思って、ずーっと大事にしてあったの。」
そこには、少し涙ぐんでいるようにも見えた、おばあちゃんの笑顔がありました。
その中の一つを取り出し、そっと広げてみると、子供の文字で(おばあちゃんお誕生日おめでとう。ずっと元気で長生きしてね。)と書かれています。
「あっ!これ〜。」と私は思わず叫んでしまいましたが、それは、おばあちゃんに宛てた私からの手紙でした。

二人姉妹の長女である私は、幼い頃から大のおばあちゃんっ子だったので、数えきれないぐらいたくさんの思い出があります。
遊園地で遊んだ時、デパートで買い物した時、クリスマスケーキを食べた時・・・事あるごとに書いたおばあちゃんへの手紙を ずっと大切にしまっておいてくれたのだと思うと、涙があふれ出てきました。

今では大分足腰の弱ってしまったおばあちゃんですが、「生きがいよ。」と言って、ひ孫である、私の愛娘の成長を楽しみにしてくれています。

思いがけず受け取ったタイムカプセル。かけがえのない私の宝物です。


お孫さんから受け取ったお手紙という「宝物」。
それを大切に保管していてくれたおばあちゃんの愛情が、また「宝物」としてご本人に還ってゆく…。
そんな目に見えない思いが、もっとも大切なものなのかもしれませんね。
心温まる素敵なエピソードをありがとうございました!


子供の頃に書いた「将来の自分への手紙」を母が出して来た。
押入れを整理していて見つけたらしい。

すっかり忘れていた。
いや、恥ずかしくて捨てた筈では?

書いたはいいが、気恥ずかしくなって部屋にクシャクシャに丸めて放置してあったのを、母がコッソリ取っておいてくれたのだ。

年代を感じさせる紙、鉛筆書き・・・。

「僕の今の夢はプロレスラーになる事です。
将来はプロレスラーになって世界中で試合をしたいと思います。
大人になった自分へ。その夢は実現しましたか?」と書いてあった。

ああ、そうだ。そんな事を確かに書いた。思い出した。

実現したよ。私はプロレスラーになった。デビューして16年も立ったよ。
そして世界中を転戦している。夢は叶ったよ。

頭の中で、昔の自分に語りかけた。

手紙の最後に「怪我をしたり病気にならないように気をつけて頑張って下さい」と書いてあった。

万感胸に迫るものがあった。
9年前、私はガンを患った。
もう再びリングに立てないのではないかと思った。
いや、それどころか命さえ危なかったのだから。

あの時、ガンとの闘いに負けていたら
リングに復帰できなかった。
それどころか、もうこの世にはいなかった。
もちろんこの手紙を目にする事もなかった。

母も笑って見られなかっただろう。

私はその手紙をもう一度、タイムカプセルにした。
庭に埋めた。
愛犬のポピーが不思議そうな顔をしてそれを眺めていた。
「掘っちゃダメだよ、ポピー」
ポピーはワン!と鳴いた。
わかったのかどうかは不明だが・・・。

どのぐらい先になるかわからない。
でもいつかまたこの手紙を見る日が来ると思う。

その時、自分はまだ現役のレスラーでいるだろうか。
ベテランと呼ばれるキャリアのレスラーになっているだろうか。

そして、レスラーでいる事はつまり健康でいる事である訳だから

再びタイムカプセルを開ける日までレスラーでいられるように。

そして健康であるように。



昔書いた「将来の夢」を現在のお仕事として実現された西村さん。
夢を叶えて終わりなのではなく、この先も努力と闘いによって「プロレスラー」であり続けようという強い意志が感じられました。
これからの活躍も応援しております!

最優秀賞